万能の職業ではない
ドラマやマンガの探偵は、法律など関係なしの権力を行使して凶悪な事件や事故を解決に導きますが、現実世界ではそうはいきません。
探偵という身分では、明確に「できないこと」があるのです。
では、探偵には何ができて何ができないのでしょうか?
探偵がやってはいけない(できない)調査
探偵には「法に触れる行為」ができません。
そのため、警察と同等かそれ以上の権利が与えられることは基本的にありません。
今回は、探偵にできることを明らかにするため「探偵ができないこと」の具体的な例をあげて、探偵という仕事への理解を深めていきましょう。
いきすぎた盗撮・盗聴
探偵は「いきすぎた盗撮・盗聴」はできません。
例えば浮気の決定的な証拠を掴むための写真が欲しいと思った時、ターゲットの家に進入してカメラを仕掛けたり、盗聴器を仕掛けて音声を入手したりすることは禁止されています。
このように違法行為を持って手に入れた写真や音声は離婚の証拠にならない点にも注意しましょう。
ただし、浮気の証拠として写真や音声を手に入れる行為自体は違法ではありません。
誰が足を踏み入れても問題のない施設から撮影した写真は撮影できるので、全ての撮影行為が禁止されているわけではないことを併せて覚えておいてください。
身分の詐称
探偵は身分を詐称して情報を得てはいけません。
この禁止事項に触れる恐れがある行為は「聞き込み」です。
探偵は浮気調査や信用調査の一環として、ターゲットに関係のある人物に聞き込みを行って情報を得ることがあります。
しかし、このときに「警察官です」というような嘘をついてはいけません。
このように身分を偽ると「官名詐称」などの違法行為になります。
場所を選ばない張り込み
業務の一環とはいえ「場所を選ばない張り込み」は禁止されています。
例えば、私有地に勝手に進入してターゲットを待ち伏せることはできません。
私有地に入るならば持ち主の許可を取る、入場料があるならばしっかりとお金を払う、などのルールを守る必要があります。
犯罪に加担する調査
探偵は「犯罪に加担する」可能性がある調査はできません。
例えば、人探しにおける「別れた妻を探す」という調査。
こちらは事故や事件で行方不明になったわけではなく、関係を断ったあとに未練がある元配偶者がしつこいストーカー行為を継続するための調査であると判断されれば、探偵は調査を行えません。
利用者も気を引き締めることが大切
探偵には法律に抵触してまで調査を進める権利がないため、特殊な力で全てを解決してくれるわけではありません。
しかし、世間のイメージを利用して犯罪まがいのことを有償で請け負う悪質な事業者がいるのも事実です。
探偵事務所に依頼をするときには、依頼者自身が責任感を強く持ち、探偵が犯罪行為に触れていないか事前確認をしておく必要があります。