探偵・興信所と探偵業法・個人情報保護法の関係
探偵事務所・興信所は探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)に則った運営をする義務があり、営業許可が必要な業種です。
違反をすれば懲役・罰金刑のほか、業務停止命令などの行政処分を受け、その内容が公表されます。
つまり、探偵・興信所は法令遵守を徹底して、ルールに則った運営をしないといけません。
法令遵守を徹底するには、探偵業法のほかに個人情報保護法のルールを守ることが重要です。
探偵・興信所の立場から見た探偵業法と個人情報保護法の関係をまとめました。
2つの法律の関係性
探偵・興信所は調査対象者に対し、踏み込んだ部分かつセンシティブな内容の調査を行います。
当然、個人情報保護法に触れる部分が多いため、探偵業法のルール作りでは個人情報保護法のルールを考慮した内容になっています。
ちなみに個人情報保護法は2003年5月30日に公布・2005年4月1日全面施行され、探偵業法は2006年6月8日に公布・2007年6月1日に施行されました。
つまり、探偵業法は3年前から施行されていた個人情報保護法の内容を考慮して作られた法律です。
探偵業法を遵守していれば、個人情報保護法の観点でも問題がありません。
個人情報保護法施行の影響
探偵・興信所の仕事は2005年の個人情報保護法全面施行で大きく変わりました。
2017年5月に施行された改正個人情報保護法では、取り扱う個人情報の数が5,000件以下の「小規模取扱事業者」も法律適用の対象となり、今まで以上に厳しく規制されるようになっています。
特に厳しくなったのが電話での取材や調査と、信用調査による金融資産や債務を調べる行為です。
探偵・興信所が資産などの詳細を調べることが極めて難しくなり、借金の有無を調べる場合は尾行によって消費者金融などの出入りを調べるなど手段が限られています。
個人情報保護法が施行される前は、独自のルートで探偵・興信所が信用調査(信用情報機関の内容確認)をするケースがありました。
承諾の有無
探偵業法と個人情報保護法の観点から、調査対象者の承諾を得れば幅広い調査が可能です。
しかし、浮気調査などは調査対象者の承諾を得られません。
調査対象者の承諾がない場合は、その調査対象者に直接的な損失を与える調査をしてはいけないルールです。
調査対象の本人はもちろん、職場の同僚や友人、浮気相手など調査対象者と関わる全ての人に対して、探偵・興信所の調査が入っていることを気づかれないようにする必要があります。
承諾の有無で状況が変わるのと調査対象者に気付かれないように調査する点は、探偵業法と個人情報保護法が施行される前から鉄の掟でした。
しかし、法整備がなかった時代はルール違反や調査の失敗があっても法的なペナルティがありませんでした。
探偵業法と個人情報保護法が施行されている現在のルールでは、もし承諾のない調査がバレてしまった場合は探偵・興信所が行政処分を受ける可能性があります。
つまり、法規制の強化によって探偵・興信所はより精度の高い極秘調査が必須になったのです。
利用目的の特定
~引用~
探偵業者は、調査結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはなりません。
~引用おわり~
引用元 警察庁
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/tanteigyou/index.html
探偵・興信所へ何かの調査を依頼する場合は、利用目的を明確に提示しなければいけません。
特にストーカーや恐喝などの犯罪利用目的には加担しないように、厳しく定められています。
つまり、離婚して慰謝料請求をしたいなど、明確な目的を示さないと探偵・興信所に依頼できないルールです。
厳しい探偵・興信所では、調査の方法によっては戸籍謄本などで婚姻関係の証明を求められる場合があります。
配偶者に対する調査は目的がはっきりしていますが、恋人など戸籍の繋がりがない人の浮気調査や素行調査・信用調査は利用目的の証明を求められることがあるので注意してください。
探偵業法で利用目的の特定が厳しく定めらているため、目的を秘匿にして依頼することはできません。
また、探偵業法と個人情報保護法の観点から、GPS発信機などを使った調査は配偶者の場合のみ可能で、恋人などへの浮気調査や結婚前調査・素行調査では使えない場合があります。
まずは相談を
探偵業法と個人情報保護法で厳しく罰せられるのは、調査を行う探偵・興信所です。
探偵業は許可が必要な業種のため、適切な許可を得ている業者であれば法令遵守を徹底した調査をしています。
違反をすれば行政処分を受け、事業者名と処分の内容が公表されて信用を失ってしまいます。
営業許可があって過去に行政処分を受けていない探偵・興信所であれば、ルールに則って秘密厳守を徹底した調査をしてくれます。
一方で探偵業法と個人情報保護法に違反する内容の調査は、正規業者だと対応してくれません。
探偵・興信所でも出来ないことがありますが、法に触れないで難易度が高い調査をするノウハウを持っています。
法的に調査できないと決めつけず、まずは一度相談してみるとよいでしょう。